強い個性のある竹紙

強い個性のある竹紙

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張 淩

竹紙とは

竹紙は、竹の表皮や竹の子の繊維を原料として作った紙だ。竹を半年~一年ほど水に漬けて発酵させた後に取り出し、洗ってから煮る。これを木槌で打って繊維を取り出し、水に放して紙に漉く。紙を発明した中国ではありふれたもののようだ。竹の豊富な中国では古くから紙の原料として多く使用され、竹紙が造られている。日本にも平安時代までに伝わり、和紙の一種として現代に至るまで作られている。

通常の紙は木材を原料としたパルプからつくられているのに、なぜわざわざ竹から紙をつくるのか?

竹は成長が早く、森林環境保全のために定期的に伐採しなければならないが、伐採した竹をどう活用したらよいのかが地域の課題となっていた。そこで、竹を原料としたことにより、環境保全と地域産業に貢献できないかと考えた。
竹紙は社会貢献度の高い魅力的な素材なのだが、その存在が世間にあまり知られていない。一般的な印刷用紙は、表面が平滑で、くっきりと印刷できるのだが、竹を原料としている竹紙は、表面にわずかな凹凸があり、やさしい印象の印刷になる。一般紙が均一な規格品だとすれば、竹紙は個性が目立つ紙といっていいかもしれない。そのような特徴を理解したうえでどのようにプレゼンテーションすれば、その魅力が伝わるのか、社会的な意義を理解してもらえるのか、考えることが重要だ。

 

原材料(竹繊維)作り

間伐した若竹の節を除いて切断し、さらに細かく割り、ポリバケツに水と共に漬け込み、密封保管して、この状態で2年間放置する。そして、竹が腐り、繊維がばらばらになり、これを取出し水洗いをする。最後に、繊維に ついているリグニンやヘミセルロースなどを取り除くため釜に水と一緒に入れ、炭酸ソーダを総重量の20%くらい投入し、約4時間煮沸する。これを再度洗浄し、乾燥させ、竹和紙の原料が完成する。

漉き体験講習会

竹和紙作りの工程
(1)繊維のこうかい

左:1/中:2/右:3

取出した竹繊維(写真1)はそのままでは長くて固いため、柔らかくし繊維同士が絡まって紙になるよう水と一緒にビーダーという機械にかけてすりつぶす(写真3)(伝統的な方法では木の槌で叩いていたためこうかいという)。(写真2)

 

(2)繊維とネリを混ぜる

4

水とネリ(糊のような粘性部質)を加えて混ぜ繊維溶液を作る。ネリは均一な厚さで丈夫な紙ができるよう繊維の分散を助ける。(写真4)

 

(3)紙漉き

左:5/右:6

繊維溶液を「漉き枠」に流し込み、軽く前後左右に振りながらかみ紙を漉く。(これは「溜め漉き」という方法だ。)
(写真5)(写真6)

 

(4)乾燥日差しで自然乾燥、あるいは、加速する乾燥機器で乾かす。(写真7)(写真8)

左:7/右:8

(5)壁紙貼り
壁紙貼りに先立ち、紙の表と裏の区別を説明する。釘穴を補修し、床からの紙の高さが一定になるように下から貼る。そして、糊の付け方、刷毛の動かし方を説明後、実際に体験する。

実験研修

竹紙の面白さは、竹の特徴的な繊維感だ。硬い竹の繊維を柔らかくして竹紙を作るが、その繊維が紙になった時に現れる表情が、1番面白い。1枚1枚の竹紙は、繊維の並びの違いで、独特の魅力がある。
しかし、竹紙は一見、普通の和紙のように見える。もっと特徴を出す方法を実験を通して検討した。

(1)水につける

左:9/右:10

体験では、パルプを作る時、繊維が機器ですり潰されており、ネリと混ぜると、均一に漉かれてしまった。そのため、特徴的な繊維感がなくなった。今回ネリにまぜず、少ない水で漉かずに平らなトレーに押し付けた。押し付けため凸凹ができた。(写真9)(写真10)

 

(2)コーヒーカス

11

竹紙の色は薄いので、色で染めて繊維感を表そうと考えた。パルプに竹と同様に廃棄物であるコーヒーカスを入れ、着色を試みた。(写真11)

 

(3)乾燥

12
左:13/右:14

実験する時、オーブンなどいろいろな方法で乾かしてみたが、天日干しが最もうまくいった。(写真12)未乾燥の状態では、トレーから剥がすのが難しく、よく水分を取り除かないと、うまく剥がせない。予想通り、完成した厚い竹紙は凸凹になった。(写真13)
そして、意外ともう一つの素材感が現れた。紙の裏の面は、スチール製のトレーで乾燥させたので、滑らかでツヤのある表情が得られた。(写真14)

 

結論

今回、竹紙を紙状に漉くのではなく、厚めに固めることにより、竹の繊維の新しい魅力を発見できた。凸凹なテクスチャーから、ツヤのあるテクスチャーまで得られる素材であることが分かった。その結果により、竹紙は個性のあるおもしろい素材で、左官などでも使えいろいろな可能性があると思った。